腹を出して仰向けに寝っ転がった僕のヘソに、さとりさんがオリーブオイルを塗りこんでいます。何のプレイかと聞かれればまぁプレイなんですが、そうして柔らかくした垢を綿棒でこすり取るという、つまりヘソ掃除です。

切っ掛けは「ねぇ、人間の子供って、どうやって産むのかしら?」なんて意味深なさとりさんの質問。ここで「じゃあ実際に体で教えてあげるよ」なんて言える度胸は僕にはなく、なけなしの性知識を総動員して保健体育の授業を始めるわけです。さとりさん、がっかりしたような馬鹿にしたような悲しそうな何とも言えない表情でそれを聞いてるんだけど、外の知識が面白いのか次第にあれこれと質問までしてくるようになるんだ。性交とか受精とか細胞分裂とかいろいろ話しはするんだけど、さとりさん知的好奇心全開なもんで全然そんな雰囲気にならないんだよね。こちらとしては情けないことに今一つ覚悟が出来てないから願ったりかなったりなんだけど。まぁ、その流れの中で、お母さんの子宮の中の赤ん坊はヘソの緒で繋がっていて、ヘソはその名残なんだー的話をしたら、「そのおヘソって、あなたにもついてるのかしら? 見てみたいわ」って、え、ちょ。
そうして、服をまくった僕とそのおなかに顔を近づけて凝視するさとりさんという構図が出来上がったのでした。さとりさんの吐く息がお腹に当たったり、恐る恐るヘソに触ってみたりとそれはもう天国のような状況なわけですが、突然さとりさんが顔を上げ、睨んできます。厭らしいこと考えちゃったこと、怒られるのかなと思ったら、「酷く汚れてますね。……それに、その、言いにくいのだけど」更にさとりさん目を逸らして「ちょっと、臭うわ」

そんなこんなで、「ああ、ごめん。掃除します」「え、掃除できるの? ……じゃあ、やってあげましょうか? 耳掻きみたいなものでしょう?」「え、いや、耳よりもっとデリケートで色々手順が」「……成程、そうやってやるのね」的な流れによって、風俗かと見まごうばかりの今に至ったわけです。オリーブオイルを吸い込んだ垢がふやけてきたのを見計らって、意気揚々とおヘソを弄りめるさとりさん。片手が触れてヘソを広げようとするだけで背筋がゾクっとするのに、さらに優しくヘソの中を弄られるとか軽く飛びそうです。ついでに言えば、ちょっと楽しそうに揺れるさとりさんの横顔を眺めていられることとか、昔ヘソを弄り過ぎて腹が痛くなった恐怖とかで、この世のありとあらゆる悦楽がここに集まっているのではないかとか真剣に考えたりしてしまうよ。こんな阿呆なこと考えてしまって、さとりさんに悪い気もするのだけれど、その辺はさとりさんも慣れたものらしくある程度はスルーしてくれる。こういう時、さとりさんが僕を好きでいてくれるんだと信じられて、少し嬉しい。「何馬鹿なこと考えているんですか? 終わりましたよ」 こんなに取れましたと、さとりさんはゴマで黒く染まったちり紙を見せてくれた。うわ、これは相当だなぁ。

 よし、じゃあ、次はさとりさんの番だね、と僕が言うと、予期していなかったのかさとりさんは少し驚いて、それからジト目でな、何破廉恥なこと考えているんですか!?」ってぴしゃりと叱るわけです。も、さとりさんこそ今その破廉恥な行為に及んでいるわけで……。そう言われて顔を真っ赤に染めるさとりさんを、ここぞとばかりに苛めてみる。あわよくば掃除させて頂こうと押してはみるけど「恥ずかしいから絶対に駄目です!!」の一点張り。やべぇ、可愛過ぎますさとりさん。しかし、やられっぱなしというのも面白くない。「じゃあせめて、ヘソ掃除の感想聞かせてよ!!」って良く分からない逆切れ。すると、さとりさんは急にまごまごして。うーあーと目を泳がせて。さらに顔を赤くして俯いて、消え入りそうな声で「おヘソの下毛が気になって……その下も……」とか言って下さいました。
今日はもうお腹一杯です。おヘソ掃除はまた今度。