さとりさんが風邪をひきました。咳はないけれど熱は高く、お腹の調子も悪いみたいで地味に辛そうです。そんなさとりさんを放っておけるわけもなく、「どうせ寝てるだけなのだから大丈夫よ」なんて言うさとりさんを無理矢理看病することにしました。
 とは言っても、さとりさんが寝ている今は特に出来ることもなく、ときどき額のタオルを絞ったり飲み物の準備をしたりするとすぐに手持無沙汰になってしまう。椅子に座って、苦しそうな呼吸を繰り返すさとりさんをじっと見つめながら、ふとこのままさとりさんが死んでしまったら、なんてつまらない不安に駆られたりする。そのまま考えが嫌な方向に進んで泣きそうになってきたものだから、悪いとは思いつつも布団の中に手を突っ込んでさとりさんの手を探す。一瞬、布団に頭突っ込んでさとりさんの香りを心行くまで堪能するというプランも浮かんだりするけど、それはまたの機会と言うことで、両手でしっかりと、さとりさんの手を握った。しばらくするとさとりさんは目を覚まして、リンゴを摩り下ろしたり、うどんを茹でたりやたら食べ物を勧める僕に、さとりさんはありがた迷惑そうな顔で笑ってくれていた。ちなみに、うどんはふぅふぅしてあーんをさせられました。あまりの恥ずかしさにやけになって、「他に何かして欲しいことはない? 今日は何でも聞いてあげますよ」とか言っちゃっうと、しばらくの思案の後、少し恥ずかしそうに、けれども真剣な眼差しで「体、拭いてもらえないかしら?」

 タライに張った熱めのお湯にタオルを浸して、絞る。さとりさんはすでにスリップを脱いで、こちらに白磁の背中を向けている。それを、素直に綺麗だなと思う。あんまり考えrwとこちらが大変なことになる前にと、少し不安げに顔を向けるさとりさんの、汗ばんだ良い匂いのする肌に、そっと触れる。後ろから骨ばった肩を、すらりとした二の腕を拭う。肩甲骨に沿って、背骨に沿って汗を拭う。芸術品みたいな腰をまで拭いて、問うようにさとりさんの名前を呼ぶ。さとりさんが頷いたので、後ろから脇を、柔らかなお腹を拭いていく。流石にくすぐったいのか、さとりさんの吐息がやけに大きく聞こえた。胸、首、そしてうなじ。
 上半身が一通り終わり、代えのスリップを手渡そうとすると、少しもじもじしたさとりさんと目が合う。それで、何となく分かってしまった。「綺麗でしたよ。……今度、イタズラさせてくださいね」そう、耳元に囁くいて、振り向いたさとりさんの顔に絞り直したタオルをあてがう。もごもご言っている耳の後ろまでしっかり吹いた後、2人で笑った。
 緊張がとけて、足を拭く時はちょっとふざけ合ったりもできました。